緻密な作画と構成で、重厚な物語を時に抒情的に、時にユーモラスに紡ぎ上げ、読者に深い感銘を残す漫画家・谷口ジロー。その傑出した技量と作家性は世界で高く評価され、特にフランスなどヨーロッパに熱烈なファンが多いことが知られています。
北九州市漫画ミュージアムではこのほど、谷口ジロー作品の原画展を開催する運びとなりました。思わず見惚れるような美しい画面の一つ一つが、原画でつぶさに鑑賞することで、ペンによる細密な描き込みやスクリーントーンの重ね貼りと削り込み、そして、自然の色彩に根ざした鮮やかで優しい色使いとで成り立った、一人の作家の魂の軌跡であることが、実感いただけることと思います。どうぞご期待ください。
*当館での開催に先立って2022年夏、京都国際マンガミュージアムで開催されました(会期は終了しています)。
関連イベント
①夢枕獏(「神々の山嶺」原作者)講演会 ~谷口ジローを語る~
概要:展覧会の締めくくりとして、「神々の山嶺」原作者である夢枕獏先生の講演会を開催します。
日時:5月13日(土)15:00~16:00
場所:あるあるCity地下1階特設会場(福岡県北九州市小倉北区浅野2-14-5)
料金:無料
定員:80名
対象:事前申し込みをして、当選された方
申込方法:北九州市電子申請システムによる抽選制
申込期間:3月3日(金)14:00~3月31日(金)18:00
イベント詳細ページ:https://www.ktqmm.jp/event_info/75642
②ヴァンサン・ルフランソワ(バンド・デシネ作家/谷口作品仏語訳時の協力者)レクチャー&ギャラリーツアー
概要:企画展「描くひと 谷口ジロー展」開催を記念したレクチャー&ギャラリーツアーです。
日時:4月29日(土祝)14:00~15:30
場所:北九州市漫画ミュージアム常設展示室・企画展示室
集合場所:常設展エントランス
料金:企画展入館料が必要(一般1,000円、中高生500円、小学生250円)
※レクチャー&ギャラリーツアー参加にかかる追加料金はありません。
定員:20名程度(先着受付)
申込方法:電話受付
イベント詳細ページ:https://www.ktqmm.jp/event_info/78584
③学芸員と巡るギャラリーツアー
概要:常設展と企画展「描くひと 谷口ジロー展」をセットにした特別ギャラリーツアーを開催します。
日時:3月26日(日)、4月16日(日)両日とも13時30分~15時頃まで(休憩あり)
場所:北九州市漫画ミュージアム常設展示室・企画展示室
集合場所:常設展エントランス
料金:企画展入館料が必要(一般1,000円、中高生500円、小学生250円)
※ギャラリーツアー参加にかかる追加料金はありません。
定員:10名程度(先着受付)
申込方法:電話受付
イベント詳細ページ:https://www.ktqmm.jp/event_info/73163
作家プロフィール
谷口ジロー
1947 年生まれ。鳥取県鳥取市出身。高校卒業後、京都の衣料品会社に勤務しつつ、本格的に漫画制作を開始。石川球太のアシスタントを経て、1971 年「嗄れた部屋」を『ヤングコミック』に掲載し、プロデビュー。関川夏央との共作による「事件屋稼業」(79~80/82~94)がヒット。関川との共作「『坊っちゃん』の時代」(87~96) は、第 22 回日本漫画家協会賞優秀賞(93)、第 2 回手塚治虫文化賞マンガ大賞(98)などを受賞。1994 年、久住昌之・原作による「孤独のグルメ」連載開始。同作はテレビドラマ化もし、大ヒットする。同年連載開始の「父の暦」がフランスの第 28 回アングレーム国際漫画祭で受賞(01)したことを皮切りに、それまでも評価の高かった海外で次々と受賞。その後、「mon année」(ジャン=ダヴィッド・モルヴァン・原作、(09))や「千年の翼、百年の夢」(ルーヴル美術館からの依頼、14)など,海外に仕事の場を広げる。その他、「歩くひと」(90~91)、「遥かな町へ」(98)、「神々の山嶺」(夢枕獏・原作、00~03)など代表作多数。2017 年、逝去。