昭和の長崎で活動した洋画家・池野清(1913-1960)と池野巖(1926-1990)の兄弟。彼らはともに被爆者であり(清は長崎で、巖は動員先の広島で被爆)、中央画壇の潮流からは距離を置きながら詩情を湛える静謐な作品を制作しました。また子どもや労働者に絵を教え、後進の育成にも努めました。さらに清は友人であった長崎出身の小説家・ 佐多稲子の長編『樹影』(1972年、講談社)の主要登場人物のモデルとなり、巖は佐多の同書執筆に協力し著作の装幀 も手がけています。現存作品が極めて少ない二人ですが、当館は2022年度に個人の方から清の作品4点、巖の作品15点、合わせて19点もの作品の寄贈を受けました。本展示は そのお披露目として開催するもので、油彩、素描、版画で構成される19点をすべて公開します。
◆関連企画 レクチャー「池野巖の新収蔵作品」
日時:8月6日(日)11:00〜11:40(開場 10:30)
会場:ホール
講師:福満葉子(長崎県美術館学芸専門監)
定員:40名程度
料金:無料(当日受付)
池野清《貧しい家》1957年 油彩・カンヴァス 女川裕子氏寄贈