長崎県美術館と三重県立美術館が共同してスペイン美術の展覧会を開催します。両館は国内では数少ない、スペイン美術の収集と展示を標榜する美術館であり、本展では、互いのコレクションから相補的に作品を選りすぐり、未だ日本国内で広く浸透していないスペイン美術の特徴を捉え、その魅力に迫ります。
長崎県美術館は、第二次世界大戦期にスペイン・マドリードに特命全権公使として駐在した外交官の須磨彌吉郎が現地で収集したいわゆる「須磨コレクション」を軸に、中世から現代に至るまでのスペイン美術作品を多数収蔵しています。対して三重県立美術館は、バルトロメ・エステバン・ムリーリョやフランシスコ・デ・ゴヤといったオールド・マスターの油彩画作品を筆頭に、三重県とスペイン・バレンシア州との姉妹提携をきっかけに収蔵されたバレンシアの現代作家らによる作品群を加えて独自のスペイン美術コレクションが形成されています。
古来、スペインでは豊かな芸術文化が育まれ、独自の美術史が編まれてきました。しかし、これまで日本国内ではゴヤ、パブロ・ピカソ、ジュアン・ミロ、サルバドール・ダリといったスペイン出身の巨匠ら個人に専ら焦点が当てられ、中世から現代にいたるスペイン美術史を紹介することに主眼を置いた展覧会はほとんどなかったといえます。そこで本企画では、両館が誇るコレクションを結集してスペイン美術の精華を伝えることを目指します。また、「神秘」や「光と影」といった同国の美術史を読み解くためのキーワードによって各章を構成し、スペイン美術の入門編として100 点を超える出品作品からその幅広い魅力を伝えます。本展は果てしないスペイン美術の歴史を辿るとともに、これからのスペイン美術の歩みを考えるまたとない機会となるでしょう。
関連企画
特別講演「三重県立美術館とスペイン美術―ムリーリョからバレンシア現代作家たち」
*当日受付、手話通訳・要約筆記つき
日時 5月25日(土)14:00~15:30(13:30開場)
講師 坂本龍太(三重県立美術館学芸員)
会場 ホール
定員 先着100名
料金 無料(要本展観覧券)
担当学芸員によるギャラリートーク
*当日受付、6月9日は手話通訳つき
日時 5月26日(日)、6月9日(日)、6月30日(日)11:00~12:00
会場 企画展示室
定員 各回先着20名程度
料金 無料(要本展観覧券)
筆談おしゃべり鑑賞会「スペインびじゅつってなんだ?」
*事前申込制、手話通訳つき
作品をじっくり見て、気づいたこと・考えたことをどんどん書き出していく鑑賞会。 手話も声も使わない、文字でのおしゃべりを通してスペイン美術の魅力を探りましょう。
日時 6月23日(日)①10:00~12:30 ②15:00~17:30
講師 小笠原新也(耳の聞こえない鑑賞案内人)
会場 企画展示室、アトリエ
対象 小学生以上(耳の聞こえる/聞こえない/聞こえにくい方どなたでも)
定員 各回6名
料金 無料(要本展観覧券)
申込方法 長崎県美術館の公式サイトをご確認ください
申込締切 6月9日(日)
※応募多数の場合は抽選
※6月13日(木)までに抽選結果をメールまたはFAXにてお知らせいたします。