「ホクソ」とは、ろうそくの燃え殻、または火の粉のこと。「ほくそ笑む」は、控えめにかすかに笑う、満足そうにほほえむこと。そして、「葉緑素」は、みなさんご存知のとおり、植物の葉っぱの中にあって光と水とCO2から炭水化物を作り、酸素を放出する営みをする、だいじな成分を指します。では、これらの語をつなぎ合わせると、どうなるでしょう?どんな眺めやニュアンスが、どんなイメージが仄めきだしてくるでしょうか?
ホクソ笑む葉緑素ー本展のこのタイトルは、九州・筑豊地方、八女市に拠点を置き、精力的に活動を続ける美術家・牛島智子が名付けた、近作シリーズの作品名に基づいています。三角形と四角形を組み合わせた家型の図形を起点として描き、それとつながり合う多角形たちの増殖していくさま(五角形から三十一角形まで増えていきます)をみずみずしく描きだした連作《ホクソ笑む葉緑素》(別名「ヤ」シリーズ)を、本展では、現在形の牛島の代表作として核に据えつつ、半世紀にわたる彼女の探究をたどり、そのめくるめく創作世界へ皆さまをご案内します。
[関連イベント]
講演+鼎談 牛島智子を語る
日時=2024年10月4日[金]17:40〜19:20
講師=沢山遼(美術批評家/武蔵野美術大学准教授)
鼎談=沢山遼×牛島智子(美術家)×大日方欣一(九州産業大学美術館館長/九州産業大学教授)
会場=九州産業大学15201教室
聴講無料・申込不要