アートにかかわる話は一般的に、作家と作品の話題が中心となります。私達が作品を目にするのは、美術館や、ギャラリー、施設で、そこには“完成したとされる作品”が展示されています。そして“完成した作品”とみなされる要素として「額」があります。もちろん額装なしの作品も多いのですが、それは「額」が初めから存在しないのではなく、別の要因、あるいは空間との関係性が「額」の役割を果たしていると考えられます。重要な役割をもつ「額」ですが、実際のところ作家の方々のスタンスは様々です。
今まで当然と考えてきた「額」に関する視点は、正解なのだろうか?そんなことを意識すると、作品の見え方が変化するのかもしれません。
また、「箱」は、作家と届け先のお客様を繋ぐ役割を果たしています。最低限のものとして捉えられがちな「箱」は、作品を“荷物”ではなく“アート”たらしめ、価値を高める要素でもあります。計算式により、ミリ単位で作られる美しい藤村氏の箱の話は、とてもユニークで新鮮です。
そして、額屋にとっても、ギャラリーにとっても悩ましいのが「梱包」です。どのように、どこまで梱包したらよいのか?…梱包の仕方は、送り主の作品に対する姿勢が問われていると考えるとますます悩ましくなります。
作品そのものではなく、作品制作の“その後“の「額縁」、「箱」、「梱包」を考えるガクヤトークは、クリエイティブの裏側を意識するユニークなものとなります。
是非ご参加ください。
■ゲストプロフィール
藤村都寿 ふじむら くにとし
能面作家として制作活動しながら、福岡市早良区で能面教室と「ミライガクブチ」を営む。依頼主の要望により作品に最適な額縁を制作し、箱を用意する。洗練されたセンスと、卓越した技術で定評がある。
[能面師•受賞歴]
2015年第7回現代能面美術展 優良賞「孫次郎」
2017年第15回能楽の里が選ぶ能面展佳作「増女」
2018年第12回島熊山能面祭 奨励賞「小面」
第10回現代能面美術展 特選審査委員賞「孫次郎」
2020年 佳作「邯鄲男」第18回能楽の里が選ぶ能面展
2021年 優良賞「若女」第13回現代能面美術展
■モデレータープロフィール
秋重久美子 あきしげ くみこ
23年間の教員生活を経て、福岡県朝倉市で「日常にアートを 地域にアートを」をコンセプトに「gallery cobaco」を主宰。築98年の古民家を併設したギャラリーでは、ファインアートを中心に様々なジャンルのアートを取り扱う。また、アートと空間の共鳴をテーマに、朝倉市と協働したプロジェクト「芸術実験」を主催するなど、アートを切り口にした地域活動は多岐に渡る。
定員
30名(要予約 ※先着順)
申込先
gallery cobaco または、ミライ額縁
インスタ メッセージにて
お名前とご連絡先(電話番号)をお知らせください。