高伝寺という場から考える
高伝寺は龍造寺、鍋島氏の菩提寺であり、地域では梅寺として親しまれている約 500 年の歴史を持つ曹洞宗の寺院です。私たちは各々の研究の一環として高伝寺で毎週行われている座禅会へ参加させて頂いており、この座禅会での関わりを通して、現住職である高閑者氏のご厚意により梅が見頃を迎える2月に高伝寺の本堂で展覧会を行う機会をいただきました。
高伝寺で美術展が行われるのは歴史的に初の試みであり、このような場所で展覧会をするということは、寺に流れている歴史に繋がるだけでなく、美術史的な問題を別視点から俯瞰する機会になるのではないかと本展では考えます。
高伝寺という場から表現する
宗教的な場所で美術表現を行うというのは一見大昔に帰っていったように見えるかもしれません。しかし、私たちはこの展覧会を、懐古ではなく、超克でもなく、回帰でもない、相関的な世界を生きる私たちの在り方への問題提起であると考えています。
「浮動」とは定まらず常に揺れ動いている様のことであり、反対に「不動」とは何ものの力を受けても決して動かず、揺るがない様を指します。揺れ動き一瞬一瞬だけが本物というわけでもなく、何かしらの固定した本物があるという認識にも立てない我々は、その中間に立たされているのです。美術・思想を学ぶ私たち3人に漂い始めたしめやかな問いをこの強い意味のある場から提示します。
探茶童プロジェクト
本展の作品とは別に、作家3名による共作プロジェクト型作品として栄西禅師ゆかりの茶の木を探し、高伝寺へ移植、奉納する『探茶童プロジェクト』を行います。
会期中に行いながら、web ブログを通して報告していきますので、そちらもご覧下さい。