侘び茶が創始された桃山時代、和物のうつわは茶道具の主流として躍り出ました。その中でも筆頭格に挙げられるのが、京の楽茶碗です。千利休の手ほどきを受けた楽家初代・長次郎(ちょうじろう)が、土味を生かした手づくねのうつわを創り出したことから始まります。楽家歴代のやきものは、茶の湯において「一楽二萩三唐津」と呼ばれるように、その圧倒的な存在感により、現代まで、茶人たちを魅了し続けています。
その一方で、唐津・高取などの九州茶陶や中国陶磁の模倣から始まった京焼ですが、野々村仁清(ののむらにんせい)や尾形乾山(おがたけんざん)といった名工たちによって、伝統的でありながら革新的な作品が生み出されてゆきます。
本展覧会では、楽家歴代の名品とともに、京の都に華ひらく京焼の優品、京の茶陶をご紹介します。茶掛第一とされる墨跡や京の雅を映し出す書画もあわせて展示します。