あなたはどこに行ってみる?現代の有田焼を知るためのお店4選

「陶器市だけじゃもったいない。」
陶器市の時期にしか有田を訪れたことのなかった有田初心者の私は、今回の取材を通じてこの街にもっと興味が湧いた。

このレポートのアイキャッチはトンバイ塀という有田特有のもの。焼き物を焼く窯で使われていたレンガで作られた塀で、一つ一つのレンガが全く違う表情をしていて面白い。

早速だが訪問した順に紹介していこうと思う。


まず初めに訪れたのが、アリタセラ。
有田・波佐見の陶磁器の専門店や飲食店が軒を連らねている。

私達がここを訪れたのは10時半くらい。まだ他のお客さんも少なく、ゆっくり見て回ることができた。
アリタセラの中にあるKIHARAという有田・波佐見焼の商社さんにお話を伺った。

明るい外観で店舗に入っていきやすい。

一つ一つの焼き物にたっぷりスペースが取られており、木を中心とした店舗のレイアウトは自社のインテリアデザイナーさんがおこなっているのだそう。


奥のブースでは、窯元と共同で企画したという海外向けの製品も展示されていた。
どれも洗練されたデザインでかっこいい…。

しばらくブラブラしているとお昼ごはん時。
アリタセラの敷地内にある、宿泊施設兼飲食店の arita huis さんに行くことにした。


店内はコンクリート造の内壁にスチールの照明、といういかにもニューヨークスタイルな取り合わせだが座席の雰囲気やカトラリーがどことなく優しさを感じさせる雰囲気だった。
店内には私のような男の客の姿がなく、女性のお客さんばかりで肩身が狭かったのは内緒。

注文するメニューによっては自分でパンが選べる。写真は先輩がパンを取っている様子。

ちなみに私が注文したのはクロックムッシュというチーズが溢れ出しているサンドイッチ。
そんな料理を知らなかったので、品物が出てくるまでどんなものなのか検討がついていなかった。

このインパクトたるや。アニメで出てきてもおかしくない。

この他にもサラダ、スープがついてきてお腹いっぱい。
人によっては持て余すかもしれない、それくらいボリュームがある贅沢なランチだった。

アリタセラ
佐賀県西松浦郡有田町赤坂丙2351番地169

営業時間:9:00〜17:00
年中無休
電話:0955-43-2288

公式ホームページ

 

腹ごしらえを済ませて向かったのは cocosara。


陶器市で賑わう有田のメインストリートに面しており、有田焼を使った女性向けのアクセサリーや小物の製作・販売をされている。
店舗が入っている味わい深い建物は今から160年前に作られたもので、今でも人が住んでいるのだとか。
条例によって昔の姿が留められている有田では修繕が自由にできないなど、店舗を維持する際にも苦労が多いそうだがそのおかげでとってもフォトジェニックな街並みだ。次に来るときにはフィルムカメラを持ってこよう。

店内には様々なモチーフのかわいらしいアクセサリーがところせましと並べられている。

今回お話を伺った、cocosara代表の金氏さん。

cocosaraで販売している品物を製作している作家は金氏さん含め3名。
アクセサリーのツヤなどを生み出すためのこだわりとして、ガス釜で焼いているのだそう。
ちなみに電気釜で焼くと、よりマットな表現ができるのだそうだ。

ちょっとユニークなモチーフや季節感のあるものも数多く販売されている。

先輩方のチョイスがなければ、私一人では来ることのないようなお店なのでとても新鮮な印象。
器や置物だけでなく、身につけるものとしても有田焼が徐々に浸透してきていることを伺わせるお店だった。
興味がある方はぜひどうぞ。

cocosara
店舗:佐賀県西松浦郡有田町大樽2丁目2-10
駐車場:有田陶磁美術館 (佐賀県西松浦郡有田町大樽1丁目4-2)

営業時間・定休日:不定
電話:090-5945-5533

cocosara 公式ホームページ

cocosara 公式instagram

cocosara 公式Facebook

 

次に訪れたのはcocosaraのほど近くにある陶磁器ショップの、藍土(LAND)。


有田や波佐見の複数の窯元の品物や、窯元との共同で企画したオリジナル商品を販売されている。

オリジナル商品のお皿とスープカップ。持ってみると見た目よりずっと軽くてびっくり。
藍土ではオーナーの田澤さんにお話を伺った。

藍土は以前から通販での焼き物販売を行っているそうだが、通販を始めた当初は「焼き物の質感が思っていたものと違う。」とか「写真だけでは分からない。」といった声が多く、焼き物を通販で売る難しさを実感したのだとか。

「普段有田焼などではなく、100円均一やホームセンターなどの食器を使っている人にこそ有田焼を使ってほしいと思っているが、普段いい食器を使っている人でなければ本当の良さは分からないだろう。」とおっしゃっていた。
食器というプロダクトを買う際の第一の基準が価格という消費者は(私も含め)多いだろうが、「有田焼は軽さや口当たりの良さにもとてもこだわっている。」という。そういったことが有田焼が有田焼たる所以であり、レストランや百貨店に選ばれている理由なのだろう。

田澤さんにお話を伺う中で、「有田は観光地ではなく産地。」というフレーズを何度も聞いた。
しかしながら「有田を多くの観光客が訪れるのは我々商社にとっては間違いなく良いことであるし、大学生などの若い世代を呼ぶための仕掛けをいつも考えている。」とも仰っていた。

私は田澤さんのこのお話から、有田がまさにいま変化の途中にあるのだと思った。
400余年の伝統や格式を大切にしながら、先進性や軽やかさといったポップな文化までも育む街に変わろうとしている。
これからも佐賀を牽引し続ける文化都市、有田から目が離せない。

藍土(LAND)
佐賀県西松浦郡有田町幸平1-2-10

営業時間:10:00~18:00
定休日:第一・第三水曜日
電話:0955-42-3208
メール:info@holiday-land.jp

藍土 通販サイト

 

最後に訪れたのはARITA PORCELAIN LAB。弥左ヱ門窯という窯元のアイテムを扱うショップだ。


店内は季節に応じたアイテムが展示されていた。
トラディショナルな柄や形を取り入れながらも、現代的な印象を感じされる品物たちはどれもはポーセリンラボのキーワード「モダン」を体現したものばかりだ。

秋のカラーは「ワイン」と、写真の「ゴールド」。特殊な釉薬を用いることで、電子レンジでの加熱も実現しているのだそう。

どの品物も独創性に溢れていて、とても一つの窯元から生み出されたものとは思えないほど。

隣に併設されたカフェでは、ポーセリンラボで販売している器で軽食やコーヒーなどをいただける。

アイスコーヒーにはクッキーが添えられていた。美しい器で飲むと美味しさも引き立つ。
広々としたカフェの店内。散策に疲れたときの一休みにぜひ立ち寄って欲しい。

 

ARITA PORCELAIN LAB
佐賀県西松浦郡有田町上幸平1-11-3

営業時間:11:00~17:00
定休日:火曜日
電話:0955-29-8079
メール:arita@aritaporcelainlab.com

ARITA PORCELAIN LAB公式instagram

ARITA PORCELAIN LAB 公式ホームページ

今回お話を伺った方々・写真撮影及び掲載の許可を頂いた店舗の方々、本当にありがとうございました。