超素人が有田焼の魅力に触れた日

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  • アバター   BY  前田彩花 お絵かきと本が大好き。本屋とシエマに永住したい。

有田焼って何がすごいんだろう。

佐賀県の有田を取材をするにあたって、取材先すべてが有田焼関連の場所でした。
私は有田焼に関しての知識がほぼなく、学校の授業で少し習ったな、くらいの超素人です。そんな私が、有田で取材をする…..。不安しかありませんでした。
しかし、焼き物に詳しくない、関心もあまりない私ですら聞いたことのある「有田焼」。たぶん、大体の人は聞いたことのある「有田焼」。
それほど広く知れわたっているということは、人々を魅了しつづける何かがあるのだと思いました。その、人を魅了する「何か」の正体をつかみたい、というのが私の今回の目標でした。

訪ねた取材先は、チャイナ・オン・ザ・パーク、椋露地、深川製磁本店です。

深川製磁という名前を聞いたことがありますか?私は今回の取材ではじめて知りました。有田には「香蘭社」という、明治から続く有田焼の製造・販売を行う会社があります。深川製磁は、その香蘭社から、当時の社長第9代深川栄左衛門の弟、深川忠次が独立して創業した会社です。
今回の取材先では、主に深川製磁について、それから、創業者である深川忠次という人物についてたくさんお話を聞くことができました。

最初に訪れたのは、チャイナ・オン・ザ・パーク。深川製磁が運営しており、深川製磁の焼き物が展示、販売されています。

緑が多く、とても綺麗な場所でした。

「忠次館」という、深川忠次の作品や、現在の職人さんが制作した作品の展示を行っている場所を見学させていただきました。

中には、深川製磁で作られた陶磁器がずらり。つるつるとした表面に照明が当たって、キラキラ輝いていました。詳しくない私でも、思わず手に取ってしまいそうになる程の美しさ。あまりの綺麗さに、怖くて触れませんでした….。
ティーカップを眺めながら、「これでお茶飲んだら美味しいだろうな〜」という声もちらほら。デミタスカップなどは模様を手描きしているそうです。使う人にとって特別なものになるからだそうです。使う人のことを徹底的に考え、ものづくりに挑む姿勢には計り知れない情熱を感じます。

また、忠次館の奥の方には、1900年(明治33年)のパリ万国博覧会で金賞を受賞した大花瓶が展示してありました。本来、門外不出とされていましたが、チャイナ・オン・ザ・パーク20周年を記念して、一般公開されているそうです。

その大きさときらびやかで美しい文様には圧倒されました。大きさは2m以上、細かく丁寧に書き込まれた装飾は息をのむほどです。驚くことに、絵付けは手描き、形は全てロクロでひいているそうです。
これほど大きなものを窯に入れるとなると、相当大変だということは私にも容易に想像がつきます。焼き物は、焼くと大きさが縮むため、焼く前は今見ている大きさより大きかったということになります。これほどの作品を作るには相当な技術力と経験が必要で、今では実現困難な作品だそう。

この大花瓶の制作の指揮者をしたのが深川忠次で、パリ万博で金賞をとったのが深川製磁の創業後間もない頃だということで、起業時からパリ万博を意識していたのではないか、ということでした。強い志と野心があったからこそ成せたことだと感じました。
ぜひ、直接自分の目で見て圧倒されて欲しいです。

次に訪れたのは、骨董屋、椋露地。中にはオーナーが海外で買い付けた有田焼も販売されています。

このツボはもう買い手が決まったそう。

取材時は製品がたくさんありましたが、普段は買い付けてくるとすぐに売れてしまうため、店内にほとんど製品が残らないそうです。ファンがたくさんいるんですね….!

同行メンバーの方が購入したお皿。とても満足げでした。

下請け会社の銘が入ったお皿もありました。これはとても珍しく、有田焼は分業で作られており、染付などの過程を下請け会社に頼むことがあるそうです。しかし、普通下請け会社の銘は残らないそうです。
このように、めったにお目にかかれない掘り出しものもありました。

 

最後に訪れたのは、深川製磁本店です。
ここでは専務の深川泰さんにお話を聞きました。

深川さん曰く、「佐賀は特に恵まれている」そうです。
普段から有田焼など美しいものに触れる機会があり、美的な感覚を養えるというのは、実はとても貴重なことだそうです。
また、日本では、普段使うもの、来賓用、食べるものによっても器を使い分け、美味しい食事とともにじっくりとそれを楽しむ文化がある。それは、平和だからこそできることだといいます。
たしかに、美しいものを美しいと感じ、愛で大切にすることは、心に余裕がないとできないことだと思います。世界に誇れるような美しい日本の文化が今尚存在するのは、平和が長く続いてきたおかげでもあるのかもしれないと感じました。

有田焼は、サイズや重さ、厚みや口の反り方など、細部にまでこだわって作られています。こだわればこだわるほど作り手側への負担は大きくなっていきます。それでも、使う人へ良いものを届けようとする姿には「思いやり」を感じます。人と人が関わる上でとても大切なことです。

今回の取材を通して、職人さんの手によって作られたものの良さは、そこにあるのかもしれない、と感じました。使う人のことを考え、こだわりを持ってモノづくりに取り組む…..。とてもかっこいいです。曲がりなりにも芸術に関わるものとして、見習うべき姿勢だと思いました。

無知だった私ですが、有田焼に対する人々の想いに触れることができ、有田焼の良さは作り手の想いから滲み出るものなのかもしれないと気づきました。
今回の取材を通して、有田焼だけでなく、伝統工芸や、絵画など作り手側がどのようなことを考えながら、モノづくりを行っているのかにとても興味を持ったので、さらに深掘りして追求できればいいなと思います。

おまけ。お昼ご飯。チャイナ・オン・ザ・パークにあるカレー屋さん、「究林登」(CURRY HOUSE KURINTO)で食べました。カレーの写真は撮り忘れました。