何気ない日常の侮れなさ。写真展「ハトの国」@おひるね諸島

ハトだらけの写真展

嬉野に誕生した新スポット・おひるね諸島で開催中の写真展「ハトの国」。写真家・南阿沙美さんによる、ハトにスポットをあてた個展で、新作約40点が展示されています。

階段の壁面を利用した展示は、ハト、ハト、ハト。

公園のハト、横断歩道を渡るハト、電線にとまるハト、雪の上のハト、校庭を低空飛行するハト、鹿に付いていくかのように歩くハトに、軽やかに駆ける少女の後ろを歩くハト。群れるハトに一羽のハト。

ハトにも個性があることが、じっと見ているうちにわかってきます。色や柄はもちろん、頭のサイズも首の長さも一羽一羽違う。

そして、ハトがいかに身近でいかに「どうでもいい」扱いをされているかを実感します。写真に写り込んだ人は、一様にハトに関心を払っていない。でも、写真を見ている側は、この平気で無視できる生き物・ハトにふと愛おしさを感じます。それは何気ない日常をふと愛おしく感じる瞬間と似ているかもしれません。

日常をハトから捉えなおした写真展、ぜひご鑑賞ください。

会場ではこの展覧会に合わせて制作されたZINEと、南さんの写真集『MATSUOKA!』・『島根のOL』が販売されています。二冊の写真集については、ぜひ実物を手にとって味わっていただきたいのですが、「ハトの国」同様、日常を眺める感覚にずれを生じさせ、眠っていた好奇心を揺り起こしてくれるような作品です。

いつもすれ違うあの人が、実は何者かと戦うヒーローだったりするかもしれない。その可能性に気づいた途端、「こんなもんだ」と半ばあきらめ、半ばなめ切っていた日常の境界線が、まったく新鮮な形ですーっと広がって、新しい景色が見え始める気がします。

南阿沙美さん公式ホームページ

いい場所見つけた! おひるね諸島

さてさて、写真展の会場であるおひるね諸島について。大村屋の川向こうにあるリバーサイドハウスの玄関先にオープンしたコーヒースタンドです。イラストレーターの大門光さんと、作家の中村将志さんが運営されています。

今回はタイムズ駐車場(シーボルトの湯そば)を利用しましたが、専用駐車場もあります。リバーサイドハウスはタイムズ駐車場から塩田川を臨むと目に入る、オレンジ色の屋根の建物。

橋を渡って嬉野温泉公園の横を通り、右折して細い小道を歩いた先です。下の写真は川の反対側から見た外観。

おひるね諸島の特徴は、コーヒースタンドでありギャラリーであり本を楽しめる場所であること。今回はストレートチャイとチョコレートブラウニーを注文しました。スパイスの旨味が直球で舌を楽しませてくれるチャイ、さくさく生地にアーモンドが香ばしい、優しい味わいのブラウニー。

本棚には新書と古書、両方あります。新書は佐賀では手に入らない出版社の書籍、大門さんや中村さんの友人・知人の作品、おひるね諸島を訪れた人の作品など。美術書からシュールなギャグマンガ、社会問題に切り込む作品まで様々。すべて購入可能です。

本棚の側面には大門さんのイラスト。注文カウンターでの何気ないやりとりがどこか微笑ましく、どこかユーモラスに描かれています。注文カウンターの写真、不覚にも撮り忘れました。

カウンター横のスペースは、嬉野市内を中心に県内各地の気になるスポットが紹介されています。

「としわすれとしはじめのギフトフェア」も開催中。近隣で暮らしている方やおひるね諸島に縁がある方の素敵なギフトが集まっています。大門さんと中村さんも出品されていますよ。

事前に公式InstagramやTwitterをチェックし、いくつかの記事に目を通した上で、期待を膨らませておひるね諸島を訪問しました。それがなんと、期待をはるかに上回って居心地よく、しかも刺激を与えてくれる場所だったのです。

コーヒーを飲みに、展覧会を見に、本を読みに立ち寄った後は、嬉野の街をぶらぶら散策。ゆったりとわくわくの両方を味わえる休日が、おひるね諸島から始まりそうです。

おひるね諸島公式Instagram

おひるね諸島公式Twitter

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