多久市×日本ペイント株式会社×一般社団法人たく21が地方創生連携協定を締結

多久市の中心市街地の壁やシャッターなどをウォールアートに生まれ変わらせることでまちの活性化を図る「多久市ウォールアートプロジェクト」。去る11月25日、このプロジェクトを企画運営する一般社団法人たく21と、活動を支援する多久市、現在塗料を協賛する日本ペイント株式会社による「アートを活用したまちづくりにおける地方創生連携協定式」が開催されました。

このプロジェクト、佐賀県民なら「あ、知ってる。多久でアート、やってるよね」と、ぴんとくるのではないでしょうか。「でもプロジェクトの詳細は知らない」「協賛とか協定って何のこと?」という疑問から現在進行中の絵画制作まで、この記事でわかります! 多久市にお住いの人もアートに興味のある人も地方創生に興味のある人も、ぜひ最後まで読んでみてください!

「アート×まちの活性化」の熱意に大手塗料メーカーが共感

多久市では、“アートのまち 多久”として、平成27年度から多久駅を中心としたまちづくり事業「多久市ウォールアートプロジェクト」が官民連携で展開されています。企画運営している一般社団法人たく21のまちづくり事業における自主財源に加え、令和5年度からは、多久市の補助金により活動の支援が行われています。

このプロジェクトにおける今年のビッグニュースは、143年の歴史を持つ塗料メーカー・日本ペイント株式会社が、社会貢献活動「HAPPY PAINT PROJECT」において塗料を協賛することを発表されたことです。

※協賛に関する過去のpotari記事はこちら。「HAPPY PAINT PROJECT」の概要も掲載しています。

11月25日、多久市内の中多久駅前広場において、「アートを活用したまちづくりにおける地方創生連携協定式」が開催されました。協定の内容は

(1)ウォールアートプロジェクト推進に関する事項

(2)教育振興に関すること

(3)その他地域の活性化に関する事項

アーティストが作品制作の際に使用する塗料を「HAPPY PAINT PROJECT」が支援し、ゆくゆくは教育支援などへの展開も検討しているそうです。

気持ちの良い秋空のもと、日本ペイント株式会社・上席執行役員の藤原三也氏(写真左)、多久市長の横尾俊彦氏(写真中央)、一般社団法人たく21・代表理事の真崎俊夫氏(写真右)が出席され、締結が実現しました。

多久市内を100の作品で彩ることが目標の本プロジェクト。2024年11月25日現在、多久市内57か所でウォールアートを鑑賞でき、現在進行中の中多久駅舎のアートが58番目の作品となります。年内に作品の数が60を超える見込みだそうです。

まちのにぎわいをとり戻すことはもちろん、アーティストと多久市の縁が深まる/市外の人がアート鑑賞に訪れるなど、関係人口の増加も目指しています。

同プロジェクトへの市民の関心は高く、制作現場で市民とアーティスト、さらには市民どうしの交流も生まれているそうです。締結式の最中に、通りかかった高校生が手を振ってくれる姿もありました。

地域の人と交流できるのがプロジェクトの魅力

この日、招聘アーティストとして多久を訪れ、中多久駅舎周辺での制作を予定していたMAJIOさん(写真右)とemi tanajiさん(写真左)からもお話を聞かせていただきました。

お二人とも、多久に来るのは2度目。地域の皆さんとの交流が楽しいと口をそろえます。また、「塗料を提供いただけるのは本当にありがたい」と制作に集中できる環境を高評価。MAJIOさんは「仕事でもあり、楽しくもある。アーティストに一番いい状況」といいます。tanajiさんは「地域の皆さんから『まちが明るくなったね』と声をかけていただけます。中多久駅周辺は通学路でもあるので、絵があることで景観が華やぎ、子どもたちが安心して利用できるようになればうれしい」と語ります。 

多久市の印象をお尋ねすると、「青森の田舎の出身なので、多久市のクルマ文化など、『わかる、わかる』という点が多いです」とMAJIOさんは笑顔を見せました。「多久市ウォールアートプロジェクトでは、いろんな人とつながる機会を提供いただいています。多久で人脈が広がることで、『多久のお気に入りの店でみんなと飲める』というのが励みになる。『ここに住むみんなのために、いい作品を描こう!』とモチベーションが上がります」。

tanajiさんも「このプロジェクトでは『一緒に盛り上げていこう』という気になるんです。多久の皆さんが前よりオープンになってこられたという印象も受けています」と温かい言葉をくださいました。

「私たちの仕事は、ともすれば『絵だけが残ってしまう』という結末を迎えることもあります。そこに絵はあるけれど、絵にまつわる記憶はない、というような。多久市ウォールアートプロジェクトではアーティストとまちの人の交流がちゃんとあるので、『あの時のtanajiさんが描いた絵だ』と認識してもらえる。それが、絵を長く愛してもらうきっかけになると思います」と語るtanajiさんに、「俺らごと作品を覚えてほしい」と応じるMAJIOさん。中多久駅舎とその周辺がどのように彩られるのか、楽しみです。

このプロジェクトに関する過去のpotari記事

「多久市とアート」というテーマでレポートしています。2023年のゴールデンウィークに掲載したものなので、記事中で紹介した展覧会は終了していますが、多久のアートスポットをまとめて知ることができますよ! 多久市ウォールアートプロジェクトももちろん紹介しています。

先ほどの記事でグルメスポットとして紹介しているスタンド食堂さんは多久市ウォールアートプロジェクトを活用してより素敵な外観になっています。制作中の様子をレポートしたこちらの記事もご覧ください。そして、多久市にお住いの人も市外の人も、同プロジェクトのライブペイントをぜひ見学に行ってくださいね!