有田焼の器を持ち帰れる新感覚イベント「Cafe to Table 2025」5月30日より佐賀市内で開催

有田焼の器で飲食を楽しみ、食後は同じ器を持ち帰ることができる、今までにないイベントの登場です。「Cafe to Table 2025」では有田焼4窯元と佐賀市内カフェ11店舗のコラボによる「有田焼の器付きメニュー」を体験できますよ! 5月30日(金)から6月8日(日)の10日間開催されます。主催したUpTerra(アップテラ)の副島希帆さんに語っていただきました。

カフェを巡りながら有田焼の器に親しむ

有田焼を盛り上げようと活動する副島さん。イベントのねらいは、「カフェ巡りが好きな若い世代に、有田焼に親しんでもらうこと」。器が欲しければ100円均一ショップでも買えます。コンビニで弁当や総菜を買えば器はいらない。でも、有田焼の器で食べるからこその見栄え、おいしさ、充実した時間があります。カフェで使った器を持ち帰ることで、家で食べる時間がきっと前とは違ったものになるはずです。

「器付きメニュー」を注文すると、参加する11店舗すべてで使える500円OFFクーポンが3枚もらえるという嬉しい特典があります。また、期間中は店舗内で有田焼の展示・販売も行われるので、「まずはウィンドウショッピングしてみよう」という楽しみかたもありますよ!

情報はInstagramで随時更新されているのでぜひチェックしてください。

https://www.instagram.com/upterra_japan

個性豊かな4窯元

イベント開催にあたって、副島さんはカフェの雰囲気に合う器をつくる窯元さんと交渉しました。その結果、時代の空気を柔軟にとり入れてきた4窯元との提携が実現しました。ここで紹介してみます。

久右エ門

伝統技法を守りつつ、時代に合う器をつくり続けています。機能性と見た目の美しさを兼ね備え、ふだんの料理が新鮮になるアイデアにご注目を。紙のフィルターが不要でおいしいコーヒーを飲めるセラミックコーヒーフィルターも、焼き物ファンの間で有名です。

文山製陶

「布のような器」セラミックミミックファブリックを生みだす窯元として知られます。リネン素材やレースを巻きつける(たたきしめる)ことでそのシワや模様を写しとった、現代的なデザイン。実は、「てびねり」という伝統技法が用いられているのです! 薄くて軽いのに丈夫な点も高く評価されています。

伯父山窯

日用品をつくり続けてきた伝統を、歴史通の社長のアイデアで現代に活かしています。磁器のかけらを埋め込んだようなデザインのモルソーシリーズや、フランス語で歴史をつづったヒストゥワシリーズが若い世代に人気。おおらかかつ迷いのない筆のシルエットが特徴的です。ありふれた家庭料理でも見た目が映える器!

瑞峯窯

温かみがあり、かつ、料理を引き立たせるシンプルな器が親しまれています。昔から窯で制作されていた雲のような形の器を現代風にアレンジしたシリーズは、アクセサリーやカギ入れとして使うのもおすすめ。釉薬次第で器の表情は変わることに気づかせてくれます。

UpTerra設立の経緯

ここで、伝統工芸を元気にするために活動する「UpTerra」が設立されるまでをお話しします。

副島さんは福岡県庁職員として楽しく充実した日々を過ごしていました。第二子の育児休業中に、「いつか起業したい」という昔からの願いに改めて向き合って退職を決意。起業に向けて動き出しました。かねて関心のあった伝統工芸や環境の分野で事業内容を検討。いったん出した答えは「廃陶磁器のアップサイクルに取り組もう」。しかし、業界を学ぶために有田を訪れて出会ったのは、長年にわたる売れ行き不振に苦しむ「窯元さんの涙」でした。現実に直面した副島さんは方針転換。「若い世代に有田焼を知ってもらおう」。若いファンが増えれば、有田は活気づくと気づいたのです。

 「Cafe to Table 2025」は、企画・営業ともに未経験のところから「突撃」で窯元やカフェを訪ねて実現させました。つくることは得意でも宣伝の手段に悩んでいる窯元から、熱い声援を受けたそうです。「Cafe to Table 2025」やその後の企画が有田の町にどのような変化を起こしていくか、楽しみですね。

ちなみに、副島さんに取材したのは、佐賀市白山のトネリコ・カフェ。長年にわたって若い作家に発表の場を提供し人材を輩出してきた、佐賀のアートを語るに欠かせないスポットです。

「Cafe to Table 2025」には参加していないものの、市内屈指のアートスポットなだけに何かが起こります。オーナーやスタッフの皆さんとの会話、取材中に訪れたお客さんと縁がつながるなど、副島さんに新しい刺激をもたらす場になったようでした!

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