リアリズムの最先端を走るスペインの現代アーティストによる版画シリーズ
マヌエル・フランケロは、現代スペインを代表するアーティストの一人です。1953年にアンダルシア州のマラガで生まれ、現在はマドリードを拠点に活動しています。当初は絵画の分野で名を馳せました。その驚異的な細密描写は他の追随を許さず、次世代を担う気鋭のアーティストとして注目されました。2000年代末からは絵筆をデジタルカメラへと持ち替え、新しいプロジェクトへ移行しています。2015年にニューヨークで開催された写真作品による個展「部屋に在るモノ(Things in a room)」(マルボロ画廊、NY)では、表現手法へのこだわりを超越したフランケロの深遠なる芸術思想が明らかになりました。
そのドラスティックな変化の過程で、フランケロは2002年に版画シリーズ「モノの言語(The Language of Things)」を発表しています。その約10年前からフランケロはアトリエ にある雑多なモノを定期的にポラロイドカメラで撮影し、まるで日記をつけるかのように、それらを撮りためていきました。ごくわずかしか変化しない風景であっても、フランケロにとっては日常の重要な軌跡なのです。ポラロイド写真をもとに版をおこし、和紙にプリントされた14点のこれらの銅版画作品には、見過ごしがちな日常に対するフランケロの鋭い観察力が凝縮されています。小さなシリーズではありますが、「モノの言語(The Language of Things)」はフランケロの思想が詰まった重要なプロジェクトといえるでしょう。
関連企画
1. 担当学芸員によるギャラリートーク
日時:2022年12月3日(土)、2023年1月7日(土)各日14:00〜
会場:常設展示室第 4 室
◎当日受付、参加無料 ※要コレクション展観覧券
2. レクチャー「マヌエル・フランケロ 絵画から写真へ」
(コレクション・イン・フォーカス第 6 回)
日時:2022年12月11日(日)11:00〜11:40(開場 10:30)
会場:ホール
講師:森園 敦(長崎県美術館学芸員)
定員:先着30名
◎当日受付、聴講無料 ※要コレクション展観覧券
3.ワークショップ「シルバーポイントのデッサンを学ぶ」 ※事前申込制
マヌエル・フランケロと親交の深い石黒賢一郎さんを講師に迎えたデッサン会を実施します。フランケロの制作方法や思い出など、ここでしか聞けないお話に耳を傾けながら、シルバーポイントを用いたデッサンに挑戦します。
※シルバーポイント…先を尖らせた銀を芯とした画材。銀筆。
日時:2023年1月14日(土)13:00~16:00、1月15日(日)10:00~13:00
会場:アトリエ
講師:石黒賢一郎(広島市立大学准教授・湖西市ふるさと大使)
対象:高校生以上
定員:各回15名(抽選制)
料金:500円(要コレクション展観覧券)
申込方法:長崎県美術館ウェブサイト「各種申込み」からお申し込みください。
申込締切:12月9日(金)※12月12日(月)までに抽選結果を通知いたします。