佐賀県立美術館は開館以来、明治から昭和初期にかけて活躍した佐賀県出身の日本近代洋画の巨匠岡田三郎助(1869~1939)の画業と人物を紹介してきました。
岡田三郎助は、明治39年(1906年)の末に劇作家の小山内薫の妹で自身も文筆家であった八千代と結婚し、伊達跡(現在の東京都渋谷区恵比寿)にアトリエを構えました。やがてアトリエ周辺には多くの芸術家や評論家が居を構え、岡田のアトリエは彼らが日ごと訪れる芸術家村の中核的な場所となっていきます。また、アトリエの内部には、岡田によって集められた多種多様な骨董品や染織品が積み上げられていました。さらに、岡田は大正末年頃にアトリエを増設して女子洋画研究所を開き、女性を対象に洋画を教えるようになりました。
このように、岡田にとって、アトリエは作品制作の場であっただけではなく、美しいものを集め、芸術を語り合い、教育を行った場でした。こうしたアトリエの在り方からは、岡田が芸術家としてどのように暮らそうとしていたのか、ひいてはどのような芸術家でありたかったかの一端を垣間見せています。
今回のOKADA-ROOMでは、「画家の住む場所・描く場所」と題し、岡田三郎助のアトリエに関わる作品を下記のとおり展示します。あわせて、岡田のアトリエに残されていた16mmフィルムを再編した動画を御紹介します。
〈主な展示作品〉
・岡田三郎助《自画像》 1899(明治32) 油彩・画布 本館蔵
・岡田三郎助《風景》 1919(大正8) 油彩・画布 本館蔵
・岡田三郎助《庭》 1919(大正8) 油彩・カンヴァス 本館蔵
・ラファエル・コラン《日だまり(くつろぎ)》 1896 油彩・画布 本館蔵
・有馬さとえ《朝》 1957(昭和32) 油彩・画布 本館蔵