その名前が、歴史的・社会的・文化的な文脈の中で、特別な響き、あるいは象徴的含意を持つようになった土地というものがあります。たとえば「ゲルニカ」。そして「長崎」もまたその一つです。こうした土地の名は、土地の歴史やそこに生きた人々の記憶や私たちの個人的な記憶と結びついて、私たちの中にさまざまな感情やイメージを呼び覚まします。
本展では、ある土地とその土地の記憶を題材とする作品を当館の収蔵品から選び、「聖地巡礼」などのテーマに沿って展示します。作品およびその周りに立ち上がる土地の記憶が、時空を越えた、しかし確実に「今・ここ」、そして未来につながる諸問題をめぐる思索の旅に私たちを導いてくれるはずです。
画像:田川憲《長崎原爆遺構(浦上天主堂)》 1949/51年 長崎県美術館