フウは2005年に福岡の路上で轢かれていたところを保護した。
事故により後ろ脚は動かなくなっていたので、手術を受け、リハビリをかさねたが普通の犬のように歩くことはできなかった。
それでも、バタバタとうねるように走り、時々尻もちをつきながら自分で立って歩けるまでに回復した。
写真を始めたのはその頃だった。
写真を撮っているとき、その写真で作品作りをするつもりはなかった。
ただ、目の前のことにいつもはじめての様に反応し動くフウに視線が向いて、それにつられてシャッターを切っていた。
福岡、それから大阪、東京、ベルリンと12年間、私はフウの側にいて、そこでただ見つめていたように写真が残った。
橋本貴雄