ラモン・カザス《「アニス・デル・モノ」のポスター》1898年、カラー・リトグラフ、国立西洋美術館
国立西洋美術館企画、200 点以上のスペインにまつわる版画作品が 一堂に会する九州初の展覧会
「スペイン」という国についてみなさんはどのような イメージを抱くでしょうか。異国情緒、豊饒な芸術文化、 歴史的建造物の数々…。そのイメージはどのように形成 されたのでしょうか。実は「版画」がそのために大きな役 割を担っていたのです。
本展では、スペインに関わる版画制作の史的展開を 17 世紀初頭から 20 世紀後半までの長大な時間軸で概観し ます。写し伝えることのできる「版画」が、美術メディア としてスペインに関するイメージの形成や流布にどのよ うに貢献したか、200 点を超える作品から探るこれまで にない企画です。ゴヤやフォルトゥーニ、ピカソ、ミロ、 ダリら巨匠たちの仕事を含んだスペイン版画の系譜を辿 ることに加え、それらの影響下に英仏で制作された作品 も多数紹介します。
また、本展の出品作は、国立西洋美術館と長崎県美術 館所蔵のスペイン美術コレクションを中心にすべて国内 で所蔵されている作品であり、今日までの日本における スペイン美術の受容とそれに付随した豊かなコレクショ ン形成の様相も浮き彫りになることでしょう。制作技術 の発展に伴って表現の多様性と多義性を深め続けてきた 版画芸術の精髄をご覧ください。