このたび EUREKA では、5 月 22 日(水)から 6 月 13 日(木)まで、元村正信さんの絵画による個展「沸騰する荒野 boiling wasteland」を開催いたします。
『いまだ楽園というものがこの世のどこかにあるとしても、世界はほとんど荒野であると認識するほうが自然に思えます。たしかに肥沃な大地は今もあるでしょう。でもそれらを蝕むように膨張する都市にみちた虚構や欺瞞と、その一方で置き去りにされた多くの土地とが地続きであるなら、やはりそのような現在を「荒野」と言ってもいいのではないでしょうか。 当然そこでの「沸騰」は、市場価値としての限りない高騰と生存の自律としての抵抗という意味で両義的でもあります。沸騰は荒野にこそふさわしい。ただそれが荒野に対して抗うものである限り、異和という形はおのずと生まれ続けるでしょう。この世界に対する〈異和〉は、わたしの思考と制作を貫くものです。はたして「絵画」という形式がそれをどこまで表現できるかは分かりませんが、今回の EUREKA の空間からそれを感じ取っていただければと思っています』 (元村正信)
元村正信の独特な唯一無二の世界は、拡張し続ける「美術/芸術」の表現にあってなおも「絵画と非絵画」を巡る問いの往還のなかで異彩を放ち続けています。ながいキャリアにおける元村のスタイルの変遷は特に 2000 年以降の彼の絵画への移行と合わせて見るとき、いまの 「現代アート」といわれるものといかに〈異質〉であるかを私たちは改めて確認できるのではないでしょうか。ぜひこの機会にご高覧いただければ幸いです。