油彩画との出会いから59年を数えます。特異なエピソードなど何もありませんが、この度一世一代の企画として、500余点の作品を見ていただく機会を得たことに無上の喜びを感じています。
進路にまつわる親の反対、東京での耐乏生活、田舎者には馴染めない当時流行の画風に抗しながら、心の拠り所としたのは古典絵画への憧憬でした。とは言え、巨匠の技を探れば探るほど己の作品は失望の色を濃くして行きます。
ここに描いても思い通りにならないストレス、描かなければ自責の念に駆られるという、理性では制御できない「業」の自覚が生まれました。従って、私は自身「画家」という呼び名には赤面を禁じ得ません。願わくば、例え生涯無名であっても「絵描き職人」としての手仕事を全うしたいと考えています。
同時代を生きた方には共感を、次世代を担う方々には、昭和や20世紀を生きた人間の「意気地」とでも言うべき思いを、未来へのテーゼとしてご高覧いただければ幸いです。
画歴
・1951年佐賀県唐津市生まれ・広島大学教育学部美術科 卒・多摩美術大学大学院 美術研究科 修
個展74回
福岡市美(3)、福岡県美(2)、八女田崎美(企画)、佐賀県美(2)、熊本県美、島田美、久留米市美、他
受賞
日本芸術センター展(3)、日本芸術会館展(2)、国際美術展、青木繁大賞展、まどかぴあ、他 ・ホキ美術館出品歴あり
元 福岡県立学校教諭 久留米大学非常勤講師