唐津の炭鉱王、髙取伊好(たかとりこれよし)氏と志那(しな)夫人、嗣子の九郎(くろう)氏は、炭鉱経営で成した財を投じ地域の発展に尽力しました。その社会貢献は、文化・観光振興、唐津焼の再興支援まで多岐にわたります。伊好氏は唐津城本丸の西南の地に日本有数の近代和風建築である邸宅(「旧髙取家住宅」重要文化財)を建てると、お膝元である肥前を中心とした国内外の上質なやきものを集めて、全国からの賓客を茶会や宴席でもてなし多士済々の交流の場としました。
展覧会では、昭和62年(1987年)と平成19年(2007年)、令和2年(2020年)の3度にわたって当館が寄贈を受けた1,189件3,428点におよぶ旧髙取邸の陶磁器の中から、灰釉彫文茶碗 銘「玄海」(佐賀県重要文化財)をはじめとする古唐津や古伊万里、鍋島など約180点の作品を紹介します。