ミケル・バルセロ展
長崎県美術館

《曇った大地-海》2019年 作家蔵 photo © David Bonet

 

ミケル・バルセロ[1957-]は1980 年代から長きにわたって国際的に活躍の舞台を広げてきた、まさに現代を代表するアーティストの一人です。故郷であるスペイン・マジョルカ島、ニューヨークやパリといった大都市、砂塵舞うアフリカの大砂漠、悠然たる大河、海抜4000m にもなるアルプスやヒマラヤの高地など世界をまたにかけ、時に過酷な環境下で制作に身を賭してきました。滞在した各地特有の文化や風土、諸現象を積極果敢に自らの芸術世界に取り込みつつ、その制作活動は自由自在な展開をみせています。絵画、彫刻、陶芸、版画、パフォーマンスなど多彩な作品群を手掛け、さらにはパルマ大聖堂の礼拝堂装飾やスイス・ジュネーヴにある国際連合欧州本部の大会議場天井画など大規模かつサイト・スペシフィックな仕事の数々にも挑戦して成功をおさめました。

Miquel Barceló, Farrutx, 2020, photograph by Jean Marie del Moral www.jeanmariedelmoral.com

本展は、求道者のごとく芸術を探求してきたバルセロの飽くなき創作活動の全貌に迫る日本初の大規模な個展です。初期から現在に至るまでに制作された、代表作を含む計93 点の作品群が一堂に会する貴重な機会となるでしょう。自然世界に開かれた豊かな感受性が力みなぎる創造へと昇華するバルセロ芸術の真髄をぜひ会場で体感してください。

【作家プロフィール】

ミケル・バルセロ|Miquel Barceló
1957 年、スペイン・マジョルカ島生まれ。1982 年の「ドクメンタ7」で輝かしいデビューを飾って以来、世界各地で展覧会を開催。1988年以降、頻繁にアフリカに滞在するなかで自身の芸術を確立していき、絵画、彫刻、版画、陶芸などジャンルの垣根を超えた制作活動を国際的に展開する。マジョルカ、パリ、アフリカなど各地にアトリエを構えて精力的に制作を続け、パルマ大聖堂内礼拝堂の大規模装飾(2007年完成)、ジュネーヴの国連会議場の天井画制作(2008 年落成)など国家的規模のプロジェクトにも取組んだ。ヴェネツィア・ビエンナーレでは2007年にアフリカ、2009年にはスペインのパビリオンを代表。スペインの国家造形芸術賞(1986 年)など数多くの賞を獲得し、2020年には多大な文化的貢献によりサン・ジョルディ十字勲章を受章した。日本国内でも複数の美術館に作品が収蔵されている。

【本展のみどころ】

1.マジョルカから世界へ
地中海に浮かぶマジョルカ島に生まれたバルセロは、同島最大の都パルマ、次いでバルセロナでアーティストとしての研鑽を積みました。1982 年開催の国際美術展「ドクメンタ7」(ドイツ・カッセル)にてスペインから唯一選出され、華々しいデビューを飾った後、新進気鋭の芸術家として世界に名を馳せていくこととなります。この時期に制作された大型タブローの数々は、若き画家のエネルギーに満ちた創造を存分に伝えてくれるでしょう。

《海のスープ》1984年 作家蔵 photo © André Morin

 

2.大地 ― アフリカに踏み入れて
大地(terra)はバルセロ芸術の重要な拠り所であり、その母胎といっても過言ではありません。なかでもアフリカの地は格別の意味を持っています。1988 年、バルセロは初めてアフリカ大陸に入り、マリを拠点に約半年間制作に打ち込みました。現地での制作は以後も断続的に続けられ、その大地はバルセロの芸術世界を語る上で欠かせないものとなります。会場には、砂漠での経験を端緒とする絵画群、多様な素材や技法を駆使した紙作品、独創性あふれる陶作品が多数並びます。

《紫色のスカートの少女》2005年 作家蔵 photo © Philippe Migeat

 

3.海 ― 生命の深淵で
バルセロの芸術を考える上で大地と並んで重要な位置を占めるのが海(mare)です。幼少期からマジョルカの海を間近に眺め、時に潜っては魚やタコを捕まえるなど、海洋世界は彼の日常から決して切り離せないものでした。海にまつわる主題やモティーフは、現在に至るまで実に様々なかたちで表現されています。多彩かつ幅広い作品群を通して、バルセロの創り出すイメージが形づくる神秘的な「海」を体感することになるでしょう。

《サドルド・シーブリーム》2015年 作家蔵 photo © André Morin

 

4. 絵画:錬金術の場
本展では、様々な素材や技法を駆使し、変化のなかから独自のイメージを生んでいくバルセロの錬金術的な制作のあり方にも迫ります。例えば、画面を脱色(ブリーチ)することで像を浮き上がらせたユニークな肖像画。闘牛主題の作品群では、時を隔てて制作された作品ごとに新規の技法や表現が試されました。「混成」や「変化」はバルセロ芸術を紐解くためのキーワードであり、近年画家が描き出している大地と海が画中に融和するかのような独自のヴィジョン(Terramare)は、その一つの具現だといえるでしょう。

《種子の目覚め》2019年 作家蔵 photo © André Morin

 

※「作品画像はすべて© ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2021」

 

【関連企画】

A.特別講演「世界の根源を描く画家ミケル・バルセロ」 *事前申込制
日 時|6 月26 日(土)11:00―12:00(開場10:30)
講 師|山梨俊夫(本展監修者、前国立国際美術館館長)
会 場|ホール
定 員|50 名(応募多数の場合は抽選)
参加費|無料(要本展観覧券)
申込締切|6月13 日(日)必着
※6 月17 日(木)までに当選者にのみ決定通知をお送りします。

〈A の申込方法〉以下2点のいずれかからお申し込みください。
①長崎県美術館ウェブサイト「各種申込み」の入力フォーム
https://www.nagasaki-museum.jp/request/

②ハガキ
参加希望者全員の①氏名(フリガナ)②年齢 ③郵便番号 ④住所 ⑤電話番号を明記ください。
宛先|〒850-0862 長崎市出島町2-1
長崎県美術館「バルセロ展特別講演」係
※予め座席を指定させていただきます。

B.レクチャー「〈画家〉ミケル・バルセロの歩みと制作」
日 時|7月11 日(日)11:00―12:00(開場10:30)
講 師|稲葉友汰(長崎県美術館学芸員)
会 場|ホール
定 員|先着30 名(当日受付)
参加費|無料

C.ワークショップ「五感で味わう〇〇スープを描こう」 *事前申込制
バルセロの作品《海のスープ》などを学芸員の話を交えて鑑賞後、カレー粉や調味料などいろんな材料を使い、参加者それぞれが考えたスープの絵を描きます。
日 時|6月12 日(土)①10:30―12:00 ②13:30―15:00
会 場|アトリエ
対 象|小学生
定 員|各回10 名(応募多数の場合は抽選)
参加費|500 円
申込締切|6 月1日(火)
※6月3日(木)までに当選者にのみ決定通知をお送りします。

D.ワークショップ「ジャベル水ペイント」 *事前申込制
バルセロのジャベル水を使った肖像画作品鑑賞後、画家の技法にならって塩素系漂白剤を使って布(サコ
ッシュバッグ)に図柄や模様を描いてみます。化学反応によって時間が経つと表れてくる絵や模様にワク
ワクします。

日 時|7 月17 日(土)①10:30―12:00 ②13:30―15:00
会 場|アトリエ
対 象|中学生以上
定 員|各回10 名(応募多数の場合は抽選)
参加費|500 円(大学生以上は要本展観覧券)
申込締切|7 月6日(火)必着
※7 月9 日(金)までに当選者にのみ決定通知をお送りします。

〈C、D の申込方法〉
長崎県美術館ウェブサイトからお申込みください。
「各種申込み」入力フォーム
https://www.nagasaki-museum.jp/request/

 

 

 

参加アーティスト
ミケル・バルセロ|Miquel Barceló
開催情報
日程
時間
10:00~20:00(最終入場19:30)
備考
【休館日】
6 月14 日(月)、28 日(月)、7 月12 日(月)
会場
長崎県美術館 

 850-0862 長崎県長崎市出島町2番1号

料金
一般1,200(1,000)円、大学生・70 歳以上1,000(800)円、高校生以下無料
※( )内は前売りおよび15 名以上の団体料金
※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、障害福祉サービス受給者証、地域相談支援受給者証、特定疾患医療受給者証、特定医療費(指定難病)医療受給者証、先天性血液凝固因子障害等医療受給者証、小児慢性特定疾病医療受給者証の提示者および介護者1 名は5割減額
[前売券販売期間] 電子チケット:2021 年4月10 日(土)~6 月9 日(水)
長崎県美術館:2021 年4 月下旬~6 月9 日(水)
主催
長崎県、長崎県美術館、読売新聞社
Webサイト
http://www.nagasaki-museum.jp
お問い合わせ
長崎県美術館
Tel:095-833-2110
Fax:095-833-2115
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