田部光子(1933 年生まれ)は日本統治下の台湾に生まれ、1946 年福岡に引き揚げ、絵画を独学し、「九州派」の主要メンバーとして活動、その後も福岡の美術界だけでなく、女性たちをも牽引してきた美術家です。同時代の社会の動きに敏感に反応し制作した《プラカード》や非常に早い時期に発表されたフェミニズム・アートとして近年注目を集める《人工胎盤》をはじめ、実体験と日々の思考から生まれた作品は、今も観る者に強く訴えかけます。
本展覧会では、1974 年に主宰した「九州女流画家展」などこれまでほとんど紹介されることのなかった1970~80 年代を含む、「九州派」時代から現在までの田部光子の活動を、作品と資料によって明らかにしていきます。
【展覧会関連プログラム】
記念講演会は、田部光子の活動とその背景をより深く理解するため、日本の近代および戦後美術史における女性の美術家たちを研究されてきた専門家にお話しいただきます。
記念講演会(1)
「ジェンダーの視点からみる近代の女性アーティストたち」
日時:令和 4 年 2 月 5 日(土)
午後 2 時~午後 3 時 30 分
講師:吉良智子(日本女子大学芸術研究員)
記念講演会(2)
「戦後美術と女性作家」
日時:令和 4 年 2 月 12 日(土)
午後 2 時~午後 3 時 30 分
講師:中嶋泉(大阪大学大学院准教授)
つきなみ講座 特別編
「美術家・田部光子の挑戦」
日時:令和 4 年 2 月 26 日(土)
午後 2 時~午後 3 時 30 分
講師:正路佐知子(当館学芸員・本展企画担当)
会 場:福岡市美術館 1 階ミュージアムホール
参加料:無料 ※各日定員 180 名、先着順