塔本シスコは、1913(大正2)年、熊本県八代市に生まれ、宇城市で育ちます。養父の傳八は、自身のサンフランシスコ行きの夢を託し、彼女をシスコと命名します。その後、家業がかたむき、シスコは小学校を中退。奉公を重ねた末に20歳で結婚し、一男一女を得ます。46歳の年には夫が急逝。心身ともに衰弱する日々から立ち直るなかで、子どもの頃から憧れていた絵を描くことに、心をよせていきます。
53歳のある日、シスコは大きなキャンバスに油絵を描き始めました。その絵画世界は、何ものにもとらわれない、自身のなかに湧きおこる喜びと夢に満ちあふれています。作品の主題は身近な草花や動物たち、そして時間も場所も自由自在に乗り越えて、子どもの頃の想い出にまで広がります。生涯にわたって、少女のような純粋さを保ち、自らの喜びと夢を制作の源泉にしていたシスコは、「私は死ぬるまで絵ば描きましょうたい」と絵筆を握り続け、2005(平成17)年に91歳の人生を閉じました。
様々な苦難を乗り越え、家族に支えられながら、一生をかけて絵を描き、生み出してきたその作品一つひとつは、まさに彼女自身の人生絵日記といえます。そして、200点以上の作品で埋め尽くされた会場内は、まさにシスコ・パラダイスです。現在もなお、その輝きを放ち続ける作品世界を、この機会にどうぞお楽しみください。
|関連イベント
■【第1部】オープニング・トーク
ゲスト:福迫弥麻(シスコの孫)、いしいしんじ(作家)
日時:2月5日(土)14:00~15:00
定員:50名 ※要事前申込・先着順・無料
■【第2部】シスコdeディスコ
いしいしんじさんがシスコと聴きたいベスト10を選曲し、蓄音機で演奏します。
日時:2月5日(土)15:30~16:30
定員:50名 ※要事前申込・先着順・無料
シスコの裏側美術館 開催中‼
シスコさんの作品の「裏側」をホームページで公開しています。
ぜひお立ち寄りください。