本展は、兵庫県尼崎市が所蔵する抽象画家・白髪一雄(1924-2008)のコレクションを全国の美術館で紹介する「白髪一雄発信プロジェクト」として開催するものです。
白髪は床に広げたキャンバスに絵具を置き、その上で天井から吊したロープにつかまり、素足で描く独自のアクション・ペインティングを確立したことで知られています。戦後、関西で結成された前衛美術グループ「具体美術協会」の中心メンバーとして活躍し、行為の軌跡がそのまま画面に刻み込まれたダイナミックな作品は、国際的にも高い評価を得ました。また、密教に関心を持ち、厳しい修行を行った白髪の作品には、全身の力で格闘した生々しい身体性と、修行を通して培った深い精神性が同居し、観る者を圧倒します。
本展では、初期の風景画から、徐々に抽象へと変化した1950年代の油彩、白髪の代名詞と言える足で描いた躍動感溢れるアクション・ペインティングの大作まで約70点の作品に加え、白髪が実際に使用したロープや画材などの資料によってその画業を辿ります。さらに、宮崎県を訪れ制作した作品や、当時の資料も合わせて紹介します。
―「行為にこそ総てをかけて」と、絵画の中に自ら入り込み行為そのものを表現した、白髪一雄の世界をご堪能ください。