病室のベッドの横の小さな本箱に立てかけられていた一冊の聖書。不慮の事故から1年9か月。自分の苦しみだけのために苦しみ、生きることをあきらめていた星野富弘は、恐る恐る開いた聖書の中で、高校生の頃に家の裏の土手で見た懐かしいことばに出会います。「すべて、疲れた人、重荷を負っている人は、わたしのところに来なさい。わたしがあなたがたを休ませてあげます。」(新約聖書 マタイの福音書)星野は、自分以外の人のために悩み、その人の幸せを祈っているクリスチャンと呼ばれる人々の姿に心ゆさぶられ、自身もそんなふうになりたいと思うようになります。聖書との出合いは、「誰かのために生きる」という、その後の星野の生きる姿勢を示すものとなります。本展では、『あの時から空がかわった』(いのちのことば社)に収録されている作品を中心に展示します。苦しみを希望に繋げようとする星野富弘の明日への世界を紹介します。
同時開催「初夏の展示」