本展メインビジュアル
待望の初回顧展
1998年から2019年までのアニメーション、マンガ、絵画、エッセイなど一堂に展示
ニューヨークを拠点に、アニメーション、マンガ、絵画、エッセイなどを幅広く手がけ、複数の分野にファンを持つ近藤聡乃。昨年は森美術館のMAMスクリーンで紹介され、今年はアヌシー国際アニメーション映画祭で《てんとう虫のおとむらい》が上映されるなど、国内外で活躍しています。これまでまとまった形で紹介されたことはなく、本展は待望の初回顧展となります。
代表的なアニメーション作品のほか、高校時代に初めて描いたマンガ「女子校生活のしおり」、アニメーション、スケッチ、絵画、ドローイングなど異なる形式で表現した《KiyaKiya》、現在連載中の恋愛マンガ『A子さんの恋人』、そして未発表の絵画作品を含む約50点で近藤聡乃の多岐にわたる創作を紹介いたします。
子どもの頃の記憶や捉えどころのない感覚を、独自の感性と精緻な観察力で汲み取り生み出す作品は、観る者を深く魅了します。多面的な活動を包括して展示することで浮かび上がる、近藤聡乃の独特の世界をご堪能ください。
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展示作品のひとつである《KiyaKiya》は、「胸がきやきやする」という古い日本語からタイトルをつけたアニメーション作品です。私は澁澤龍彦『少女コレクション序説』中の一編「幼時体験について」でこの言葉を知りました。「何とも説明しがたい、懐かしいような、気がかりなような気分」、「既視感(デジャ・ヴュ)」の気分を表すこの言葉の存在を知った時、それまであの気分を形容する言葉を知らなかったことに気がつきました。そしてあの気分の「名前」を知ったことで、一瞬で忘れてしまうあの気分を、以前より確かなものとして感じられるようになりました。
何かの名前を知ることで、その存在が確かになることがあります。何かを作るという行為は、まだ呼ばれたことのない名前を呼ぶようなことかもしれません。
近藤聡乃
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