事前予約制チケットの日常はじまる バウハウス展とメディア芸術祭

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  • 杉本 達應   BY  杉本 達應 プログラムが生みだすビジュアルをこよなく愛する、potariの旗振り人。

前回につづいて感染対策に注目した展覧会鑑賞記だ。感染対策をしながらの展覧会の開催運営には大きなコストがかかっているはずだ。関係者のみなさんの努力に感謝だ。さいきんは、混雑回避のために日時指定の予約制をとる展覧会が増えてきている。今回は予約して行ったふたつの展覧会の模様をお伝えする。

事前予約でも混雑していたバウハウス展

「開校100年 きたれ、バウハウス―造形教育の基礎―」
東京ステーションギャラリー(東京都千代田区)

日時指定チケットの予約をなまけていたら開催終了が近づいてしまい、あわてて予約サイトで確認したところ、ほとんどが完売していた。一枠だけ「残りわずか」と表示されていた会期終了直前のチケットを手に入れ、滑りこむことができた。チケットは最終日を待たずに、すべて売りきれていたようだ。

当日、コンビニで発券して会場に向かった。会場入口での検温はなし。展示室に向かうエレベーターには数人しかおらず、日時指定チケットだから空いているだろうとおもった。ところがエレベーターを降りたとたん、その予想は裏切られた。展示室は人だかりの大混雑だった。

混雑している原因はすぐわかった。解説パネルが多く、パネルのテキストを読んでいる人がとどまっていたからだ。ひどい混みかたで、前回お伝えした「オラファー・エリアソン」展の比ではない。ただ、撮影禁止だったことや、落ち着いた来館者が多かったことから、感染の不安は感じなかった。

本来なら触ることができる展示物がいくつかあったが、残念なことに「お手を触れないでください」に変えられていた。

なかなかの混み具合だったので、時間あたりの販売数は何枚だったのか知りたくなった。たとえ日時指定チケットをもっていても、会場内の混雑はさけられないことがこの展覧会でわかった。

マンガの棚が消えたメディア芸術祭

第23回文化庁メディア芸術祭
日本科学未来館(東京都江東区)

毎年開催されている「メディア芸術祭」は、例年の混雑ぶりが嘘のような静けさにつつまれていた。事前に予約して行ったものの、こちらは閑散としていて拍子抜けしてしまった。当日入口でも十分に予約可能なようだ。小雨がふりしきる天気のなか、来館者がほとんどいない日本科学未来館は活気が感じられない。

この展覧会では徹底的な感染対策を施していた。館の入口でカメラによる検温を受け、手指消毒をうながされる。展示室内にもところどころにアルコール消毒液が置かれている。だれもさわりそうにない展示ケースは定期的に拭きあげられていた。「人と人の間隔を空けてください」という紙を掲示するスタッフが立っている。もっともこの警告が意味をなすほど人はいない。展示室内は来場者よりもスタッフのほうが多く、スタッフ同士が近づいて話しているのが目立ってしまうほどだった。

いつもはマンガ部門の受賞作が読めるコーナーが人気だが、今回はタッチレスで読める展示があった。スクリーンに触れずにマンガが読めるらしいが、だれも読んでいる人はいなかった。実物の単行本がならぶ本棚のないのはさみしい。

ふたつの展覧会では、どちらもワークショップやイベントは軒並み中止または予約制になっていた。展示では、手で触れられるものがなくなっていた。清潔な手で触れるだけなら、さほど危険ではないはずだ。けれども不特定多数が入れ替わる触ることから、人々の感染の不安を完全に拭いさることができない。リスクを減らそうと、主催者が触れる展示を一切やめるのはやむを得ないかもしれない。

ところで日本科学未来館は、「リスク・ノットイコール・ゼロ」のスローガンをあちこちに掲示していた。当館は対策していますよ、ご安心ください、といった気持ちにうったえかけるキャッチコピーではなく、あくまでリスクはゼロにはならないと打ちだす科学館らしい誠実な呼びかけに感心した。

事前予約制チケットの日常に向きあう

こうした事前予約制の展覧会がひろまった今、どのように展覧会に行くのがよいのだろうか。

まずは展覧会の情報をいちはやく手に入れる必要がある。開催に気がつかなかったり、チケットを予約できないことを避けるために、potariのようなアート情報サイトで日頃から情報収集しておきたい。予約はなるべく早めにすませよう。時間指定チケットの場合、開館直後の時間帯がのぞましい。時間通りに入場しても、前の時間帯に入場した鑑賞者が長く滞在していれば、そのぶん密度があがる。そのため開館直後のほうが空いていて快適なはずだ。

これからは展覧会であっても旅行に行くように、前もって予定を立てることが大切になった。計画性が抜けているわたしにとっては、きびしい状況になったと感じている。

みなさんの地域の美術館や展覧会ではどのような対策がされているだろうか。ユニークな取り組みがあれば、potariで紹介してほしい。