夏至が過ぎ、梅雨入りの気配も感じない暑い日差しの夕方。仕事帰りの自転車で佐賀市中央大通りの信号を待っていたら、ハッとする景色が視界に飛び込んできた。懐かしさとキレイな色たち、人の手がつくった世界。
自転車を降り、近づいてみた。街路灯に貼りだしてあるフレームにおさめられた絵のキャプションには、街なか唐人美術館「唐人町スケッチ大会・優秀作品」と書いてある。
街なか唐人美術館は、唐人町商店街振興組合が2015年から取り組んでいる「芸術をメインテーマにして、唐人町を歩きながら楽しめる街にするプロジェクト」である。唐人一丁目北交差点から中央橋交差点までの約600メートルの商店街を美術館に見立てている。今年で3回目を迎えた「唐人町スケッチ大会」は、4月末に唐人町周辺で約160人もの中高生が参加した。
進行方向を見ると、次の街路灯にも絵が貼ってある。自転車を引いて先へ進む。中高生の描いた唐人町の絵を鑑賞しながら、中央橋交差点まで歩いてしまった。通りの反対側にも絵が見えたので、信号を渡り、唐人一丁目北交差点までまた自転車を引いて1キロ強も鑑賞しながら歩いた。とても魅力的な絵が30作品。美しい色合い、新鮮な構図や光の描写。こどもたちにはこんな風に美しく佐賀の街なかが見えているんだと心が動揺した。
子どもたちの絵は、自分の世界を美しく見ることの愛おしさに気づかせてくれた。押し寄せてくる感動は継続中で、絵を見たさに歩いてしまう日々。日常に潜む美しさを見つける欲求が増している。
これからは日中暑い日が続くので夕方以降、夕涼みにでも、街なか唐人美術館を訪れてみてはいかがでしょうか。