先日、雨が降る昼下がりに久留米市美術館で開催されている「ラファエル前派の軌跡」に行ってきました。
ラファエル前派とは、19世紀中頃、ヴィクトリア朝のイギリスで活躍した美術家・批評家からなるグループです。イギリスの美術批評家ジョン・ラスキンの「芸術は自然に忠実であるべきだ」という主張に刺激され、19世紀後半の西洋美術において、印象派とならぶ一大運動であった象徴主義美術の先駆と考えられています。
この展覧会は、ジョン・ラスキンの誕生200年を記念し企画されたものです。ラスキンが擁護したウィリアム・ターナーや、初期ラファエル前派のダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ、ジョン・エヴァレット・ミレー、そして次世代にあたるバーン=ジョーンズ、ウィリアム・モリスらを軸に、絵画や素描、ステンドグラスや家具など、多様な作品約150点を展示し、19世紀イギリスで花開いた芸術の様相を紹介しています。
会期のはじめに行ったためか、あまり混雑はしておらず、気に入った作品を近くでじっくり見ることができてラッキーでした。来館者の年齢層は若いカップルから年配の方まで幅広く、音声ガイドを利用して鑑賞している方を多く見かけました。筆者は、音声ガイドなしで鑑賞しましたが、キャプションや章解説で十分に学べました。今度行くときは音声ガイドを利用してみたいと思います! ガイドは35分間あり、声優の佐藤拓也さんが解説をしているそうです。
鑑賞時間は約1時間程度でしたが、展覧会場を出てからが長かったです……。販売されているポストカードが可愛すぎました。さっきまで鑑賞していた絵画たちがミニサイズになっていて、とてつもなく可愛かったのです! ポストカードは1枚ずつだけでなく、5枚セットでも売られていました。筆者は5枚1セットと、そこには入っていなかった本展で一番お気に入りの《母と子(サクランボ)》のポストカードを購入しました。
《母と子(サクランボ)》は、ラファエル前派と交流を持っていたイギリスの画家・彫刻家であるフレデリック・レイトンの作品です。子供が母親にサクランボを食べさせてあげようとする穏やかな母娘の一場面です。子供の表情が影で隠されているため、母親の官能美が強調されています。子供の可愛らしさと母親のセクシャリズムを持ち合わせた美しい絵です。展示では第3章の「ラファエル前派周縁」に位置づけられています。グッズは他にもたくさんあったので、ミュージアムショップを見るだけでも楽しめそうでした。
久留米市美術館は敷地が広く、バラや紫陽花も見ることができました! 天気のいい日はお散歩にも良さそうですね。
「ラファエル前派の軌跡」は、久留米市美術館にて2019年9月8日まで開催中です。是非一度は鑑賞しに行ってみてはいかがでしょうか。