木彫アートを自分の手でつくる 「オレクトロニカアートセンター 路上活動実験室」

2019年11月、佐賀県有田町の旧しらかわ保育園を舞台に、大分県在住の美術ユニット・オレクトロニカ (加藤亮[1984-]+児玉順平[1984-])が4日間限定のアートに触れる学校「路上活動実験室」をテーマに展示しています。ふだんはなかなか接点のないアーティストと触れ合って、じっくりと作品に向き合えるイベントを日替わりで行っています。そのイベントのひとつ、オレクトロニカの作品でもある木彫りの小作品を作る「小さな木彫を作ろう!」に参加してきました。

まずは作品の素材の選択から。幅1センチ、高さ3センチの小さな木。木の種類は2種類で、形はスカートかパンツタイプから選びます。そして渡されたのは、小刀一本。

最初から不安いっぱいのなか、オレクトロニカのお二人から簡単な彫り方のレクチャーを受けます。「まずは頭から。そして、肩へ。」説明をしながら、すいすいと、簡単に人形が掘り出されていきます。当たり前ですが。素人がこんな風にできるもんかと思いながら、何の心の準備もなくワークショップがスタート。

予定作業時間は、最大1時間30分。10分ぐらいしたら頭の部分が落ちて終わってしまうだろう、と思いながらひたすら手を動かしていきます。保育園だった園庭に、大人たちがこども用の椅子にちょこんと座り小さな木に格闘します。初秋のさわやかな風の中、手に冷や汗をかきながら黙々と彫り進めていきます! 本当にただ黙々と、黙々と……。

気づけば予定時間が過ぎ、2時間あまり。なんとか木彫が完成しました! ちょっと体をひねらせた仏像のイメージでしたが、なんだかセクシーなお姉さんになってしまいました。こういうものって、人間性がもろに出るのでしょうね。自分の勉強不足と、意外な内面に気づかされました。もっと顔とか細かいところを最初から設計したかったと後悔しながら、保育園を後にしました。

家の玄関に飾ってみたら、なんだかオレクトロニカの世界観があらわれました。不思議。ここに、今日という日と記憶が保存され、鎮座している。アートってきっと身近で、尊いものなんだと感じる楽しいワークショップでした。