「ズル ズルオ」初の写真展。―道ばたの影から声を聴く―

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  • アバター   BY  中田さとみ 最近、菅原道真が気になる。大川の蒲鉾好き!

吐息を感じて 振り返れば やっぱり影がいる。

ズル ズルオ 写真展  in ギャラリーシルクロ 2020/07/14(火)-19(日)

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「ズル ズルオ」。この変わった名前の写真家の個展が、ギャラリーシルクロで開かれる。「ズル ズルオ」この名前になぜか惹かれる。どんな人がどんな写真を撮るのか気になった。まだ個展準備中のギャラリーシルクロへ「ズル ズルオ」さんに会いに行った。

7月11日土曜日の午後1時前、ギャラリーシルクロを訪ねると、受付の女性が奥に準備中のズルオさんがいることを教えてくれる。初めて見る「ズル ズルオ」さんの写真は、粒子の粗い白と黒の不思議な写真。一面に飾られたモノクロ写真の中に、「ズル ズルオ」さんがいた。初めてお会いしたズルオさんは想像と違うような違わないような、大らかな優しい気さくな感じのひとだった。一枚の写真を見て「心霊が映りこんでいるんじゃないですか?」と初対面の気恥ずかしさから、ついおちゃらけた事を言ってしまった。ズルオさんは笑顔で「そうでしょう~映っているかもしれないですね~。」などと話される。

この写真展のモノクロ写真は、トイデジタルカメラで撮影している。画素が低いのでザラザラした感じに。ズルオさんは、道端で何かの気配を感じた時シャッターをきるそうだ。それは偶然なのか、私も写真を見て何か感じ取れたような気がした。

トイデジタルカメラ
路上の風景。何か映りこんでいるかも…

今回が初の個展になるというズルオさん。日頃、華やかなライブ写真を撮影しているらしいが、今回はこのモノクロ写真が一面を飾る写真展になる。

「いつもは週末のヒーローを撮っているんですよ!」

地元佐賀の他、福岡、久留米、熊本など、九州のライブハウスへ写真を撮りに出かけるらしい。ライブハウスで演奏するバンドマンに彼のファンが多い。「今回、展示される作品は本当の自分で、根っこの部分。いつもはカラーの華やかな写真だが、ぜひ今回の写真展を見て欲しい。」とズルオさんは語る。

「写真展自体が初めてで、セルゲイ草柳さん(写真家)と交流があり、ここを紹介してくれた。ギャラリーシルクロでやろうと思ったのは、地元だし、雰囲気が気に入ったから。」ズルオさんにとって、セルゲイさんはとんでもなく偉大で、写真の大先輩。美術や写真の概念を教えてくれる。そのセルゲイさんから、「グループ展では、甘えがでる。作家だったら個展をやるべきだ。」と薦められたそうだ。

穏やかな印象のズル ズルオさんです。ご本人は「短気です。」とおっしゃいます。

「自分が作家なのかは疑問だが、自分の見て感じているモノを見てもらいたい。日常の中の引っ掛かり、特に自分は道に落ちているゴミに感情を感じる。ゴミが何かを言ってくる。ゴミと目が会った時、『撮ってくれ』と声が聞こえてくる。」とズルオさん。

写真展の作品紹介

シルクロでの展示。気が付けば、入口から左側のテーブルのあるセカンドルームにズルオさんのお気に入りの写真が集まったそうだ。

通路側に展示されているひまわりの写真。「シーズンオフのひまわり園。時期から少し遅れて行ったら全部枯れていた。時折訪れる数名の人は枯れている様子が分かるとにすぐ引き返す。ただっ広い園の中自分ひとり、楽しかった。」

ひまわりは何て言ってるんですかと尋ねてみた。
「『苦しい。』とみんな泣いていた。」とズルオさん。

「モノクロは、色が無いから形がはっきりする。」

ズルオさんの写真集。2種類販売される。

ズルオさんに名前の由来を聞いてみた。昔、ひどいズルをした時からだそうだ。気になって、ちょっと時間を置いてから「どんなズルをしたんですか?」と聞くと、一瞬困ったような恥ずかしいような顔をして「言えない。」とひとこと。そうだろうなぁと納得しながらも知りたくもある。

「ズル ズルオ」さんの不思議な影たちの声を聴いて、自分の中の懐かしい感覚に巡り合えた。怖いようなワクワクするような原始の記憶。粒子の粗いモノクロの写真は美しかった。「ズル ズルオ」さんに出会えてよかった。

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