いろえ工房~第22回黒髪山陶芸作家村 秋の窯開きに向けて・3

毎年恒例、「黒髪山陶芸作家村 秋の窯開き」が今年も開催されます。今回はWEBで同時開催されることが特徴。11月20日(金)からの開催に向けて、ぽたり編集部では参加される窯元さんへの取材を行いました。6回連載の第3回はいろえ工房の鷹巣 陽さんにご登場いただきます。

四季の移ろいを見つめる優しい視線を反映する、美しい器

白磁に映えるのは、自然の一瞬の姿をとらえた鮮やかかつ繊細な絵。伝統を引き継ぎつつも、時代の空気を軽やかにとり込んだ器が、見る者を魅了します。

「草花や紅葉など四季の移ろいを感じていただける題材を描いています。作業は集中して丁寧に行いますが、美しさを追い求める中で遊び心を入れることもあります。他ではなかなか見られない魚や蟹をあえて題材に選んだり、コスモスやつくしを描くにしても実在しないような色をあえて入れてみたりね」と鷹巣さん。

いろえ工房では、お客様から「この器はどうやって使うんですか?」と尋ねられることをきっかけに、「十日喫茶」を開催するようになりました。

「隔月で十日間限定のお料理をお出しするので、『十日喫茶』と名づけました。食事を楽しんでいただくと共に、器の使い方のヒントを提供させていただく場になっています。建物正面に向かえば黒髪山の雄岩・雌岩が、建物奥には池が望めるロケーションも楽しんでいただければ」

建物裏手の池を臨むテラス席は特に人気があるそうです。「十日喫茶」の開催期日はいろえ工房のFacebookでお知らせされます(要電話予約)。

仕事に打ち込める環境。雄大な景色がインスピレーション源に

お父様の仕事を継承し、焼き物の道に入ったという鷹巣さん。

「黒髪山で工房を開いたのは私の代です。辻󠄀修窯の辻󠄀修さんともとから親交があって、先に辻󠄀さんが黒髪山に窯元を構えました。秋の窯開きで訪れた際に、山を望むこの環境がいいね、と夫婦で話したんです。それから黒髪山陶芸作家村の仲間入りを果たし、もう20年弱になります。静かで仕事に集中できますし、黒髪山麓という環境をお客様にも楽しんでいただけるのがうれしいですね」

山帰来(さんきらい)など黒髪山で見られる植物を描くことはもちろん、そのときそのときの雲の表情をカメラに収めてインスピレーション源にすることもあるそうです。

いろえ工房の作品と黒髪山の環境とが深く結びついていることがわかります。

※「第22回 黒髪山陶芸作家村 秋の窯開き」(11月20日~23日)は、新型コロナウィルス感染の拡大状況によって、WEB会場のみの開催になる場合があります。開催状況については、各参加窯元へお問い合わせください。

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