おうち時間にたのしみを〈映画編〉

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  • 杉本 達應   BY  杉本 達應 プログラムが生みだすビジュアルをこよなく愛する、potariの世話人。

Photo: CC BY-SA 4.0 Razgrad

この記事は、リモート演劇編のつづき。

この春、多くの映画館が休業し、映画の制作も配給も止まってしまった。この春以降公開予定の映画はつぎつぎに公開延期に。わが家では、楽しみにしていた春休み公開予定のこども向け映画がなくなる悲しい出来事も! 佐賀のシアターシエマといったミニシアターにとっては、致命的な状況だ。

リモート演劇と同じように、映画でもリモートで制作された作品が公開された。絶妙なトリックで話題を呼んだ映画『カメラを止めるな』のリモート版『カメラを止めるな!リモート大作戦!』(上田慎一郎監督)や、オンライン同窓会を描いたショートムービー『きょうのできごと a day in the home』(行定勲監督)などがYouTubeで公開されている。リモート映画はどうしても画づらが似通ってしまうが、演出の違いでそれぞれの魅力がひきだされている。

これらはリモートで作られた映画だが、「本物の映画」もオンラインで公開されている。公開されているサイトのひとつが、仮設の映画館だ。インターネット上で新作映画を鑑賞できる。仮設の映画館では、観客が鑑賞する映画館を選ぶことができる。支払った鑑賞料金は一般的な興行収入と同じく、それぞれの劇場と配給会社、製作者に分配される。つまり仮設の映画館で観賞することで、映画制作者や配給会社、ひいきの映画館を応援することができる。

ここで公開された映画のひとつが、本来は全国の映画館で公開予定だった『精神0』(想田和弘監督)。わたしは熊本のDenkikanを選んで観賞した。ミニシアターで公開される映画は公開期間がみじかく見逃してしまうこともある。そんな小規模の新作映画が自宅ですぐに鑑賞できることに感動した。映画そのものも面白かった。

以前記事で紹介した『プリズン・サークル』(坂上香監督)も仮設の映画館で観賞できる(佐賀シアターシエマでの上映は終了している)。ぜひ見てほしい。

オンデマンドサービスなどオンラインで気軽に映画が見られるようになったいま、「本物の映画館」の価値がどこにあるのか考えさせられる。とくに地域の小さな劇場は、たんなる映画の鑑賞場所以上の存在意義をますます問われるのではないだろうか。いまは「密」がさけられているものの、「密」になることで豊かな文化がつくられてきたはずだ。新型コロナウイルス感染症が落ち着いたとき、「本物の映画館」でゆっくり観賞できることを楽しみにしている。

[参考]映画支援プロジェクトをいくつか紹介する。